老人ホームを検討し始めると、必ず目にする「入居一時金」という言葉。0円から数千万円まで施設によって大きな差があり、「これは何のお金で、本当に払うべきなのか?」と多くのご家族が戸惑います。この記事では、入居一時金の意味・相場・返還ルールを、契約前に必ず知っておくべき水準でまとめます。
入居一時金とは何か
入居一時金は、想定居住期間中の家賃を前払いする性質の費用です。多くの施設では、想定居住期間を5〜10年と設定し、その期間分の家賃をまとめて入居時に支払うことで、月額家賃を抑える仕組みになっています。
同じ施設で「一時金あり0万円月額20万円」「一時金600万円月額15万円」のような複数プランから選べる施設もあり、入居期間の見通しに応じて選択することが大切です。
相場 — 施設タイプ別
施設タイプ・地域・部屋の広さによって相場は大きく変わります。下記は当センターが日々接している首都圏の目安です。
- 介護付き有料老人ホーム(中位):100万〜500万円
- 介護付き有料老人ホーム(高級):1,000万〜5,000万円超
- 住宅型有料老人ホーム:0万〜300万円
- サービス付き高齢者向け住宅:敷金として家賃数ヶ月分(30万〜100万円程度)
- グループホーム:0万〜数十万円
都心部(港区・千代田区・渋谷区など)の高級老人ホームでは、入居一時金が1,000万円を大きく超える施設も珍しくありません。一方で、近年は0円プランを用意する施設が増えており、初期費用を抑えたいニーズに応えています。
初期償却 — 「払って即なくなる分」
入居一時金には、「初期償却」という考え方があります。これは、入居一時金のうち一定割合(多くは10〜30%)を、入居初日に償却(=施設に支払い済みとして計上)する仕組みです。
例:入居一時金500万円・初期償却20%の場合、入居初日に100万円が償却され、残る400万円が想定居住期間(例:5年)にわたって月割で償却されていきます。
つまり、入居後すぐに退去した場合でも、初期償却分は返ってきません(後述の短期解約特例の期間内を除く)。この点は契約前に必ず確認すべき重要ポイントです。
返還ルール — 退去時の精算方法
入居後、想定居住期間が終わる前に退去・死亡した場合、未償却分が返還されます。計算式は以下が一般的です。
返還額 = 入居一時金 −(初期償却額 + 月割償却額 × 入居月数)
例:入居一時金500万円、初期償却20%(100万円)、月割償却額は残400万円÷60ヶ月=約6.7万円。30ヶ月で退去した場合、返還額は500万 −(100万+6.7万×30)=500万 − 301万 = 約199万円。
償却期間(多くは5〜10年)を超えて入居した場合、返還額は0円となります。
短期解約特例 — 90日以内の退去なら全額返還
2012年の老人福祉法改正で、すべての有料老人ホームに「短期解約特例」の設置が義務付けられました。これは、入居後90日以内に契約解除(退去・死亡含む)となった場合、初期償却分を含めて入居一時金のほぼ全額が返還される制度です。
「お試し入居」や「合わなかった場合の保険」として活用できる重要な制度なので、契約書の該当条項を必ず確認してください。
保全措置 — 倒産リスクへの備え
万が一施設運営会社が倒産した場合に備え、入居者一人あたり500万円までの保全措置が法令で義務付けられています。これを超える入居一時金は、保全されない可能性があります。
高額な入居一時金(500万円超)を支払う場合は、施設運営会社の経営状態(決算公開・親会社の信用度)も確認しておくと安心です。
よくあるご質問
入居一時金は何のための費用ですか?
0円プランと一時金プランどちらが得ですか?
短期解約特例とは何ですか?
入居一時金が返還されないケースはありますか?
入居一時金の支払い方法に分割は可能ですか?
「予算に合うプランを見つけるのが難しい」「複数施設の総額比較を手伝ってほしい」という方は、無料相談フォーム よりご相談ください。当センターの相談員が、想定居住期間・予算・優先条件を伺ったうえで、最適なプラン構成を1〜2件に絞ってご提案します。
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